山本生活相談所(旧、山本国際結婚相談所)
      行政書士:山本享市
      郵便番号467-0056 名古屋市瑞穂区白砂町1-30-6中根マンション405号
Tel/Fax 052-836-2167

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遺言・相続 (2014年7月新設、同12月更新 )
 最近遺言・相続の相談が急増しています。平成27年1月1日からは相続税の基礎控除が引き下げられるので、また権利意識の高まりで権利主張を抑制することは困難になりました。
  弊職は遺言書の作成、遺産分割協議書の作成につきご相談に応じます。

1.遺言書の裁判所外での開封、遺言と異なる遺産分割は有効か?遺産分割の条件が守られなかった時は?
(Q&A設例1.)
甲男がなくなり妻乙、長男A,長女Bが残された。甲の遺産は、不動産・預金・株式であった。乙、A,Bが協議し、不動産A,株式B、預金乙と相続することにし、その代わり、長男Aは母乙の面倒を見る、長女Bは時々母を温泉旅行(カンポの宿)に連れて行くという遺産分割協議書を作成した。ところが、その後甲の自筆証書遺言が発見された(仏壇の引き出しの一番下)。封がされた封筒に入れられていたのでその場で開封した所、不動産乙株式B預金Aに与えると記されていた。

Q1 遺言書は家庭裁判所で関係者立会いの上で開封し、家裁の検認を受けないといけない(民法1004条1項、3項)。これをやらずに勝手に開封したからこの遺言書は無効ではないか?
A1 いや、そうではない。遺言の検認というのは、遺言書の偽造・変造を防止し、その保存を確実にするための1種の検証手続きである。遺言書の家裁提出・保管義務・家裁での開封義務に違反しても遺言自体の効力には影響はない(島津一郎・松川正毅編「別冊法学セミナー基本法コンメンタール相続第5版」190頁棚村政行執筆)。
Q2 遺言が有効ということになると、遺産分割協議と遺言の内容が違っている。どちらが優先するのか。やはり遺言は死んだ人の意思だから、これが優先するのではないか?
A2 法定相続分よりは遺言が優先するが、相続人の意思は更に優先する。相続人全員が同意すれば遺言の趣旨に反する遺産分割協議も有効である(最高裁判決平成12・9・7金法1597号73頁)。最高裁は、遺言内容に反する協議分割の中に遺贈の放棄があると解して遺産分割協議を優先させている(島津他編前掲基本法コメ93頁松川正毅執筆)。
Q3 ところで仮に、遺言執行者がいる場合(例;遺言で行政書士○○を遺言執行者に定めてあった)は遺言が優先するのではないか?
A3 そのとおり。遺言執行者がいる場合は、相続人は相続財産の処分が制限される。遺言の趣旨に反する遺産分割協議は無効と解されている(民法1013)(最高裁判昭62・4・23民集41・3・474頁)。然し、遺言執行者が同意・追認すればそのような遺産分割協議も有効と解するべきである。なぜなら、相続人による処分行為が遺言内容の実現や執行にプラスに働く場合もありうる。そのような場合にまで遺産分割協議を無効とするのは現実的でないからである(島津他編前掲基本法コメ196,197頁棚村政行執筆)
Q4 ではこの遺産分割協議は有効ということで話を進める。問題は付帯条件である。長男、長女がこの条件を履行すれば問題ないが、仮に長男Aがこの条件を履行しなかったらどうなる?母乙長女BはAの債務不履行を理由に遺産分割協議を解除して(民法541条)、もう一度遺産分割協議をやり直すよう主張できるのであろうか?
A4 そういうことを認めると遺産分割協議というものが極めて不安定になる。ご指摘のような事態は現実によくあることである。扶養法の面で解決すべきことであろう(遠藤浩他編「民法(9)相続第4版有斐閣双書」118,119頁泉久雄執筆)。判例も遺産分割の安定を理由に否定説を採る(最高裁判平1・2・9民集43巻2号1頁)。但し、学説はこの判例に反対するものが少なくない(例えば、島津他編前掲基本法コメ92頁松川正毅執筆)。
Q5 遺産分割の解除の問題に関連して、現実には例えば、遺産分割協議書を作ってから相続税が多額になることが判明したので全員の合意で遺産分割をやり直して相続税の軽減を図るということが少なくない。こういうことはできないのか?
A5 関係者全員が合意すれば、私法の基本原理「契約自由の原則」からして「遺産分割自由の原則」が妥当するから、再度の遺産分割は可能である(最高裁判昭62・1・22判例時報1227号34頁)。ただし、最初の遺産分割協議に基づき例えば不動産の所有権移転登記が行われていると(例えば、AからZへ売買で所有権移転登記がなされた)、第三者の権利を害することはできないから(民法909条)、第三者が出現すると再度の遺産分割は事実上できないということになろう。

 

2.妻に全財産を残す遺言と遺留分、推定相続人の廃除、相続税がかかるか?

(Q&A設例2.)
甲男は81歳で妻乙は75歳、子供は何れも女でA50歳,B45歳で4人とも甲所有の自宅(敷地、建物合わせて時価6000万円)に同居している。甲の財産は自宅のほかは銀行預金2000万円である。甲は元教員で共済年金受給。乙は国民年金受給。A,Bはパートで生活している。外見的には質素に仲良くやっているようであるが、内実は毎日いがみ合っている。甲はA,Bと仲が悪く、A,Bは毎日甲に早く死ねと暴言を吐いている。A,Bは2人とも独身である(Aは自分の結婚を甲が妨害したと言い、Bは自分の離婚は甲のせいだと言う)。甲は自分の全財産を妻に残したい。A,Bには何もやりたくない。どうすればいいか?税金もかからないようにしたいのだが。
Q1 乙に全財産を残すという遺言を書くことが考えられる(遺言状に「全財産を妻乙に相続させる」と記す)が、A,Bには遺留分があるので(2人とも遺産の8分の1、民1028,1044、900))、不可能ではないか?
A1 遺留分に反する遺言も当然無効ではなく、減殺請求をして初めて無効になる(民1031)。遺言に付言事項としてA,Bの結婚・離婚について今の気持ちを率直に書けばA,Bも減殺請求を思いとどまる可能性は大いにある(甲死亡直後はそうである)。また、いずれ、乙について相続がある(第2次相続)ので、そうすればA,Bに全財産が帰属することになる。A,Bも減殺請求を思いとどまると思う。なお、遺留分減殺請求権はA,Bが、甲が死んで相続が開始し問題の遺言内容を知って後、1年間で時効によって消滅する(民1042)。遺言状には自筆証書・公正証書が有り(民968、969)、それぞれ一長一短がある(秘密証書遺言は実際にはほとんど用いられてない)。弊職に相談して欲しい(要件を欠いた自筆証書遺言は無効である)。
Q2 乙に全財産を残すと相続税がかかるのではないか?相続税の基礎控除の引き下げで(平成27/1/1より本件は3000万+600万×3=4800万円)、相続税がかかりそうだが。
A2 配偶者の税額軽減措置により1億6000万円(または法定相続分までのいずれか多い額まで)までは相続税がかからないので心配ありません。但し乙の死んだ時は基礎控除をオーヴァーするので、その時は小規模宅地の評価減特例(330uまでは80%減額評価)を申請すればいいでしょう。A,Bもそのときは甲に感謝するはずである。甲の残した家に住んでいるのだから。
Q3 他にA,Bに相続させない手段はないか?
A3 @推定相続人の廃除(民892)の制度がある。これは家庭裁判所に請求する。排除はいつでも取り消しできる(民894)。排除の請求、取り消しの請求は遺言でもできる(民893,894 遺言執行者が裁判所に当該申し立てを行う。遺言執行者は弊職も可能。)。なお、A生前贈与も考えられるが贈与税が多額なのでやめたほうが良い。ただ、結婚20年以上であれば贈与税の配偶者控除(20年以上の結婚期間があれば自宅不動産の贈与には2110万円までは贈与税がかからない。いわゆる「おしどり贈与」。)が適用されるので部分的には贈与税が幾分緩和されよう。B第三者に遺贈することも可能であるが、そのご希望は甲さんにないようなので、詳論しない。
Q4 推定相続人の廃除は本件では可能か?
A4 A,Bが甲を虐待しまたは重大な侮辱を加えたことが要件である(民892)。毎日早く死ねと暴言を吐くことは重大な侮辱に当たりそうであるが、それについて甲にも原因の一端があるという場合は該当しない可能性がある(島津一郎・松川正毅編「別冊法学セミナー基本法コンメンタール相続第5版」日本評論社2,007年P.28右近健男執筆)。また、家庭裁判所に推定相続人の排除を申請するので、A,Bの知る所となり、よけ事態がこじれるかもしれない。
⇒総括;傍目には仲良くやっていても、実際は親子が毎日いがみ合っているという例は少なくない。それでも、「血は水よりも濃し」である。甲さんが死ねば、A,Bとも反省すると思う。古来父親というものは損な役回りである。うまく遺言を書くことが肝要である。

※ 料金の目安;
    遺言書作成指導5万円、遺産分割協議書作成指導5万円〜10万円
※ 一般的相談電話、Eメール3000円〜。面談5000円〜。

 
山本国際結婚相談所
行政書士:山本享市
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