山本国際結婚相談所
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国際結婚の法律研究( '04/8新設、'07/2更新 )
以下の説明では、Xは日本人男、Y(Y@、YA)はフィリピン人女とする。Kは関連質問の略である。フィリピン家族法は比家族法、日本民法(刑法)は日民(刑)とした。
(1)国際結婚の成立
Q1 Xは国際結婚相談所Zの紹介でフィリピンで同国法の方式でY@と結婚した。日本に帰国してからY@と連絡できない。Zとも連絡不能。日本の結婚届もしていない。その後知り合ったYAと結婚したいが可能か。
A1 国際結婚の成立は婚姻挙行地の法律によるところ(法例13A)、フィリピンで同国の方式で結婚したのだから日本法上も結婚は成立している。再婚したければY@と離婚し日本の市町村役場に結婚・離婚届けをし、その後再婚できる。
※XY@間の離婚可能な点の詳細は後述A3参照。
K1 Y@と音信不通では離婚届に署名してもらえないのでは?
回答 其の通り。Xの再婚は事実上不可能。ただ本件では比国法の結婚要件を満たしていないかもしれない。その場合は結婚不成立。結婚許可証(Marriage Lisence、比家族法11条)、婚姻挙行官(比家族法7条では裁判官、神父、牧師等、1991年地方自治法444条、455条では市町村長。この点はJ.H.Nolledo 「The Family Code of the Philippines Annotated」奥田・高畑訳「フィリピン家族法」P.75,76参照。)等の各要件を満たしているか。結婚証明書(Certificate of Marriage)は?等を検討する。

Q2 Xはフィリピンパブで知り合ったY@とフィリピンで結婚したが、その後、Y@には愛人がいることや、Y@の子供(非嫡出子)がいることやY@の家がスラムだったりしたので嫌気が差して日本での届けはしていない。その後、パブでYAと知り合い、フィリピンで結婚し今度は日本での届出も済まし日本で新婚生活をしている。ある日突然Y@から電話があり一緒に暮らすと言う。XはY@との結婚は日本での結婚届が出してないので無効と考える。如何。
A2 A1で述べたようにY@との結婚は日本法上も有効。YAとの結婚は重婚となる。重婚の効力は、フィリピン法上は無効(比家族法35条 4号)、日本法上は取り消し可能(日民732条、744条@)。日本国際私法上結婚の効力は夫婦の本国法によるところ(法例14条)、本件のような場合は国際私法上、より厳しい無効説を取る(厳格法の原則)(東京家審昭43・4・25家裁月報20-10-91、山田りょう一「新版国際私法」P.414,419,420.溜池良夫「国際私法第2版」P.411)。YAとの結婚は無効。Y@との結婚は有効。
K2 逆ではないのか?Y@との結婚は日本の結婚届が無い。
回答 結婚届の意味が違う。日本人同士のの場合は届出により結婚成立(創設的届出)。本件の届け出はフィリピンで成立した(日本法上も成立している)結婚を報告するものに過ぎない(戸籍法41条)(報告的届出)。署名・押印はXだけでよい。YAとの結婚は重婚となりフィリピン刑法349条で懲役刑、日刑184条で2年以下の懲役が規定されている。

(2)女の離婚・再婚 (待婚期間、再婚禁止期間)
Q3 XはパブでYと知り合い結婚することになったが、Yは日本人男Zと結婚している。Zとは離婚すると言う。XYは結婚できるか。又、いつ結婚できるのか。
A3 離婚についてはわが国の国際私法上、先ず当事者の本国法によるところ(法例16条、14条)、フィリピン法は国際結婚の場合のみ離婚を認める(比家族法26条)。
※ フィリピン国民同士では離婚不可(現在離婚禁止国は比のほか、マルタ、アンドラ等しかない=溜池前掲書P.437)。
故にYZ間の離婚は可能。ただ、Zがフィリピン在住なら離婚できない(法例16条但し書きの反対解釈)。
次に日本で結婚するには婚姻要件具備証明書がいる(昭22・6・25民事局長回答、昭24・5・30同)。※他国でも同様の扱いである。在日フィリピン総領事館(大使館)がこの証明書を離婚後301日以内は出さない(実状)のが問題。=待婚期間(再婚禁止期間)の問題である。
 この点、日本法は6ヶ月(日民733@)、比家族法は定め無し。フィリピン刑法351条は301日以内の再婚に拘引、500ペソの罰金を定める。待婚期間の趣旨は出生子の血の混交による被害の防止。故に当事者双方の本国法によるべきである(山田前掲書P.406、溜池前掲書P.402)。従って、長い方の本国法を適用する。フィリピン刑法の規定は待婚期間でないと考えれば6ヶ月、待婚期間と考えれば301日である。フィリピン総領事館は結論的には後者の立場である。
K3 301日も待たされたらYのビザが切れる。どうすればいいか。
回答 フィリピン国内の扱いでは待婚期間はない。すぐ結婚可能である。勿論其の前にフィリピン総領事館に離婚の報告をしてReport of Divorceを取得しこれをフィリピンの市役所(Lorcal Civil Registry)に示すのが無難。本件では一旦帰国し、フィリピンで結婚すれば良い。その後来日し在留資格の更新(同じく日本人の配偶者等)をすれば良い。Yのパスポートは本物の前提で回答した。因みに待婚期間無き国としては、中国、ポーランド、英国等がある(溜池前掲書P.403)。
※従来の弊サイトでは、定住ビザをとって301日過ぎるのを待ち結婚するとしていたが、弊所の経験ではこの場合の定住ビザはまず不可能。故に、今回上述のように説を改める。今後(‘05年5月〜)上述の見解を私見として引用されたい。
K4 Zであるが、どうして妻をパブなどで働かせるのか。Yもどうしてそんなところで働くのか。どうして離婚するのか。
回答 YZの結婚は偽装が多い(上記回答は本当の結婚として回答したが)。パブでは偽装結婚がかなりある。Yのパスポートも偽造でしょう。然し、比国帰国後は本人に戻り正式に結婚、在留資格認定証明書取り何食わぬ顔で来日といったケースがかなりあるのでは。偽造パスポートも転々と流通しているのであろう。勿論違法書類のタレントを雇わないパブも有る。
   

( 補足:2005 年 10 月の更新で補足 )

1、 待婚期間の定めは、A3に述べたように結婚当事者双方の本国法によるべきである。かつては、女だけの要件、男だけの要件という説もあったが、現在では双面的(双方的)要件であるというのが通説である(A3に掲げた山田、溜池のほか奥田安弘、柳川昭二「外国人の法律相談チェックマニュアル第2版」(明石書店、2005年7月)P.87)。戸籍実務もそのように考えている(南敏文編著「初めての渉外戸籍」(日本加除出版、平成15年1月)P.98)。
出生子の父性の混乱は男女双方に不利益をもたらすので、私見も双面的要件(双方的婚姻障害)と考える。
2、 フィリピンでは X,Y はすぐ結婚できるが(フィリピン法には待婚期間の定め無し。比刑法 351 条は待婚期間の規定ではないと考える。)、日本で結婚届を出すときは 6 ヶ月の待婚期間 ( 日民 733 条 ) に触れるので取り消しうべき結婚となる ( 日民 744) 。従って、本来市町村役場は受理できないのであるが(日民 740 条)、本件は外国においてすでに成立した結婚の報告であり ( 報告的届出 ) 、裁判で取り消されるまでは有効であるから、戸籍実務上は受理される(大 15 ・ 11 ・ 26 民事 8355 号回答ほか)。ただ、@各当事者、その親族、検察官から裁判所に取り消し請求ができ、A子供が生まれると父親が誰かの問題が起きる(例;前婚解消後 20 日でフィリピンで再婚、前婚解消後 250 日目、後婚成立後 230 日目に出産=嫡出推定の重複)。⇒父を定める訴え(日民 773 条、日人訴手続法 27,30 条)による。
3、

実際には前婚は偽装結婚が多く、夫婦関係の実体が無いから父親が誰かの問題は起こらないかもしれない。然し、偽装結婚でも全く夫婦関係無しとは言い切れないのが実情である。また、前婚が本当の結婚の場合もありうる。故に前述 2. の問題防止のためには、日本大使館で婚姻要件具備証明書の申請の際に前婚の有無、解消年月日を聞き、場合により立証資料を求めるべきである。 = 私見 

 現状は日本民法の待婚期間の趣旨が没却されており憂慮すべき状態といわなければならない。


(3)フィリピン人との結婚手続き・在留特別許可の手引き('07/2更新)
  フィリピン人との結婚は@日本でする、Aフィリピンでする、の2通りありますが、弊所では何れについても手続きをまとめ各3000円で販売しています。A4版で@は6枚、Aは12枚です。この種の物の中では最も詳細・正確・実践的です。弊所の執務経験が随所に記載され、日比結婚の実体に基づいた考察を行っています。
弊所の執務経験に基づき大変実践的且つ学問的にも正確なものになっています。郵送(郵送料@は200円、Aは300円)、PC送信(もちろん送料無し)何れも可。
特に、@についてはフィリピンでの書類の収集がややこしいことに鑑み、重要点の英訳(訳者は筆者)付です。比国人にはこれを見せれば収集可能。電話、ファックス、メールでお申し込みください(代金は、手引き到着後3日以内に支払い)。多数の方がこの手引きで結婚されています。
なお,B在留特別許可の手引き(A4版6枚、送料200円)もあります。小職が実務でつかんだ有益な情報が掲載されている。市販の本にはない。@の日本国内での結婚手引きと合わせて利用すると効果絶大である(オーヴァーステイ等不法滞在の場合)
  ※ (ご注意)
国際結婚の手引きとして市販されているものでは、榎本行雄編「詳解 国際結婚の手引き(第 2 版)」 ( 明石書店、 1999 年 ) が有名であるが、この本は間違いが多い。初版出版後の事情変化に触れていない。例@ P.88 、P .87 ;女性の再婚禁止期間につき民法 84 条で 300 日を定めていると記述するが、この規定は現行フィリピン家族法制定( 1987 年)により効力を失っている ( フィリピン家族法 254 条 ) 。A P.90,91 ;日本でフィリピン方式で結婚できないのはフィリピンの婚姻手続きの性格上できないとしているが ( 本来はできるはずと言外に言っていることになる ) 、我が法例 13 条 3 項に明らかなようにわが国の国際私法上もともと不可能なのである。B P.93 ;バランガイ独身証明書が要るというが、今はいらない。C CFO 委員会のセミナー受講義務、是を受講しないとフィリピン人配偶者はフィリピン出国できない。このことが全く書いてない。C P.92 ;フィリピンで日本方式で結婚が可能かのように言うが、法例 13 条 2 項により婚姻挙行地 = フィリピン法の方式によらなければ無効である。
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